企業理念
Just Mediks
私たちの会社名はJustmediksという造語です。
Justは「正しい・まっすぐに」という意味、Mediは「薬・医療」を意味するMedicineです。最後のksは「感謝」という意味でThanksから取りました。
これは正しくまっすぐな心で医療に取り組みたい。感謝の気持ちを持って医療に取り組みたい。
また逆に患者さんから感謝されるような心のこもった医療がしたい。という強い想いで命名しました。
トップインタビュー
まずは会社の歴史から教えてください。
2001年に前身となる会社を設立し、翌年には調剤薬局の1号店「くすのき薬局」(現在の毛受店)をスタート。
2005年に株式会社ジャストメディクスに社名変更し、1〜2年で1店舗ずつ増やしてきました。店舗が増えていく中で、もっと地域に密着していきたいと考えるようになり、2013年の馬引店オープンを機に実家のある甚目寺から家族とともに引っ越し、2015年には本社も馬引に移転。
現在、10店舗すべてが一宮市の西エリアにありますが、ここで地域と向き合う薬局を目指していくことにしました。
地域と向き合うというのは、具体的にどういった薬局でしょうか。
従来の薬局では薬を売ること自体が目的となっていることが多く、門前の病院が流行っているかどうかが大事な要素で、「薬を間違いなく、早く出す」ことが優先されがちです。私たちはそれよりも一歩踏み込んで、薬を売るだけでなくその人の生活から健康のすべてを診られる薬局を目指しています。
薬だけでなく暮らしごと分かっていることは、患者さんにとっても安心できます。そのためには、地域にある暮らしと密接に関わっていくことが不可欠です。
私を含め全社員が一宮市の在住であるのは、地元の言葉や風習も分からずに生活指導をするには無理があるからです。
近くに住んでいるというだけでつながりができ、お互いに話しやすくなったり理解しやすくなります。地域と向き合うことが地域医療の第一歩。その中で、患者さんとの対話は欠かせないものだと思っています。
確かに調剤薬局というのは薬をもらうだけという無機質な印象がありますが、くすのき薬局はとても温かみのある店づくりをされていますね。
話しやすい雰囲気づくりなど、親しみやすい印象を持ってもらえるようにしています。
また、お薬手帳にシールを貼って終わりではなく、そこでの関わり方を大切にしています。
これまでの薬局は、「薬を間違えずに、より早く出すこと」が目的化し、人を見るのではなく、薬を見ている状況が生まれていますが、くすのき薬局では薬の情報を伝えるだけでなく、その人を見て、その暮らしに合わせたフォローを心がけています。
病院にかかった時だけ立ち寄る場所ではなく、健康的な日常生活を送るためにも必要とされる存在になること。それには患者さんと対面できる時間をなるべく多く持つことです。そのために、くすのき薬局では最新の自動散薬調剤機をいち早く導入し、作業のオートメーション化を進めています。
分包作業に時間を取られていた分を、患者さんとの対話にあてることで、本来あるべき薬剤師の仕事を全うしてもらいたいと思っています。そのためにも、薬剤師がやるべきことに一層集中できるよう、事務職員ができる範囲でサポートするという「パートナー制度」を新たに取り入れました。これにより、在宅医療がさらに強化されています。それぞれの業務の精度が上がり、互いの仕事に誇りを持って、やりがいのある職場づくりをしていくのが私の役割だと思っています。
【チャレンジできる環境を】
都築社長はどういった経緯で医療の分野に進まれたのでしょう。
実家は医療とは関係のない建設業だったのですが、親からは跡を継いで欲しいとは言われませんでした。
それもあって、大学ではもともと興味のあった医療分野に軽い気持ちで進みました。今思うと、全くの未知だったからこそ思い切って行動できたように思います。卒業後は臨床検査技師として公立病院に勤め、心電図やエコー、血液検査などを行っていましたが、透析技師として10年が過ぎた頃に転機を迎えました。
病院で亡くなっていく人を日々見ていて、亡くなる時に幸せだったとか悔いがあるとか、人生についても日々考えさせられる中で、「自分はやりたいことをやって、後悔のないことをしないとな」と思うようになっていきました。
自分がやりたいことは病院にはなかったのですね。
公立病院では決められた仕事だけを全うすべきであって、新しい提案は受け入れてもらいにくい風土があります。
私は幼い頃から自営業の父を見てきたので余計にそう思ったのかもしれませんが、休日でも自分から働きに出るような職人さんたちとは、正反対のところにいる気がしました。
そんな時に、10年間一緒にやってきた透析室の部長先生が開院されることになり、技師としてではなく運営スタッフとして立ち上げに参加してみないかと誘ってもらいました。クリニックを開業する時には薬局も必要になります。医療系のビジネスもやってみたいと思っていたので、薬局は私がやることになりました。いろんな方たちとの出会いがあって、今のくすのき薬局があります。
やるからにはという想いが、新しいことへの積極的なチャレンジにつながっているのですね。
そう思います。
地方薬局の規模ではまず導入しないだろう、最新の調剤機を思い切って設置したのも大きな決断でしたが、導入に見合うものがあると確信していたからです。
実際に薬剤師の分包作業が大幅に減り、患者さんとの時間が十分に取れるようになりました。投資やチャレンジには責任がついてきますが、そのバランスを考えながら、これからも新しいことに取り組んでいきたい。
それは私自身だけでなく、社員のチャレンジでもあります。社内の風通しを良くして、入社1年目の社員であっても意見や提案がしやすい環境や、新しい試みを任せられる信頼関係を築いていきたいです。
経営判断は私ですが、それを動かしていくのはスタッフ全員です。
新しい取り組みを進めるためには柔軟な思想を持った若い力が必要です。
10年前から大学の講師として、医療事務などを教えながら人材育成にも力を入れています。そうした若い方たちにも、薬局を変えていくチャンスがあるということを知っていてもらいたいですね。
【地域の暮らしとともに】
新しい試みとして、地域と薬局をつなげる活動を続けているそうですね。
これは自治体の制度を活用したものです。
一宮市には、高齢者や地域の人たちが誰でも気軽に集まって交流できる「おでかけ広場」というのがあり、生きがいづくりのための様々な活動が行われていますが、くすのき薬局の全店舗がこの「おでかけ広場」に認定されています。
月に一回、薬局の待合スペースに集まってもらい、椅子に座って健康体操をしたり、iPadを使用した認知症予防トレーニングをしたり、みんなでコミュニケーションを取りながら楽しく過ごしています。また、薬に関する健康相談会や、子ども向けの栄養相談会、食育講座などのイベントも行っています。
薬局に来ていただくのを待っているのではなく、高齢者が集まる地域のサロンに出向いて送迎も行います。高齢者の方たちを楽しませながら脳を刺激し、元気になってもらって、ワクワクするような体験をしてもらえるよう、内容は各店舗で企画しています。
コロナの影響で「おでかけ広場」が思うように開催できない時期もありましたが、以前と同じペースで開催できるようにしていきたいと思っています。また「おでかけ広場」以外でも、みんなで折り紙を作るイベントを開催するなど、活動が広がっています。そうやって薬局が主体的にやれることを考え、地域の人たちとの接点づくりを進めています。相談会では「薬は水で飲まないといけないのか」といった気軽な質問を含め、病院や薬局で普段なかなか聞けない患者さんの心配事も出てきます。患者さんとの距離が近くなってきたようで嬉しいですね。
さらに新しいチャレンジも始まっていますね。
2019年から「くすのきPLUS」がスタートしました。
ここでは、“買い物しながら、楽しくリハビリ”をコンセプトに、カラダもココロも元気になれる活動をしています。具体的には、スーパー(MEGAドン・キホーテUNY一宮大和店)の2階にある「くすのきPLUS」で、まずは健康体操やストレッチマシンを使って身体をほぐします。
その後、1階のお店でリハビリを兼ねた買い物をします。スーパーの商品を見る・探す・選ぶ・考える・歩く、すべての動作がリハビリになります。何より、皆さんが楽しんで行えるというのが最大のメリットです。
楽しいからいつの間にか長い距離を歩いている、という人たちばかりです。スタッフが自宅から送迎しますので、デイサービスのような感じですが、これも一宮市のあんしん介護予防事業になるので、対象者であれば1回335円で利用できます。とはいえ、まだまだ知られていないサービスです。認知症対策や運動提案として、この制度を上手く活用していただけるよう、ご家族やケアマネージャーの方たちにも、しっかりと広報していく必要があると思っています。
また、おでかけ広場や高齢者サロンを巡回する中で、多くの人たちが「外出したい、買い物に行きたい」と思いながらできずにいただけでなく、家の中でも「扉が開かなくなった、電球が交換できない、スマホのアプリがダウンロードできない」といった、ちょっとしたことで困っている現状を知りました。そこで、介護保険ではサポートできないことにも対応するサービスとして、「まごころサポート」をスタートしました。20分1,000円〜で、家庭内のどんな困りごとも解決し、毎日を楽しく過ごすお手伝いをしています。エアコン・ハウスクリーニング、障子・網戸の張り替えやリフォームなど、プロによるサポートも無料でお見積もりするなど、地域の皆様の暮らしのあらゆるお手伝いをしていきたいと思っています。
最後に今後の展望を聞かせてください。
くすのき薬局グループが最終的に目指すのは「地域に健康という安心を届ける」ことです。
今後も薬局が売るものは薬ではなく健康だというビジョンを突き詰めていきたいと思っています。一般的に多くの人がお薬を服用されています。でも、お薬だけに頼っては健康な生活は目指せません。日常の健康にはお薬より、日々の食事や運動が大切だと言われています。専門的な薬物療法はくすのき薬局で、運動提案はくすのきPLUSで、あと一つ食事提案ができるサービスを何か作りたいと思っています。この3本柱を上手くリンクさせて構築できれば真に健康を売れる薬局グループになれると思っています。
この仕組みを完成させパッケージ化できれば、他の地方都市で同じ考えをもつ薬局にも提供していきたいですね。この一宮で確立した仕組みを活かして、他のエリアでも展開できるようなシステムをつくり、地域に貢献できる薬局を広めていきたいです。